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前線を分け合う

松田朋春(グッドアイデア株式会社代表、「大分で会いましょう。」プロデューサー)

「関係人口」の話題が、よく聞かれるようになりました。

ミーティングツアーvol.4 で佐伯の番匠川を訪ねた指出一正さんが編集長をつとめる雑誌ソトコトが発信源の言葉だと思いますが、地域において交流人口と定住人口の中間くらいの関与度の人たちをさす言葉で、これが地域の活性化にあたってかなり重要だというお話しです。

 

こういった話しは、ここ10年くらいあちこちで語られてきたと思います。

 

たとえば、小豆島では、アーティストたちがコミュニティに入って、観光資源の磨き上げやひらかれた図書館づくりなど、一過性ではない活動を展開しています。住み着く、というより、外部の人が出たり入ったりする「関係」の中で、あるべき地域像をゆっくり形成していこうとしています。

その時のスローガンが「観光から、関係へ。」でした。

とても新鮮に感じたのを覚えています。

 

わたしも「観光的周辺参加」という言葉をつくって、住民としての正統性はないけれど共感してくれる「仲間」を外部に持っていて、そういう人たちをうまく巻き込める地域がこれから伸びるのだ、という話しをあちこちでしていました。

そうしたことを上手にひとまとめにできるのが「関係人口」という言葉だと思います。

 

「観光」は地域を商品化する発想で、来訪者を「消費者」と捉えてきました。

それにたいして「関係人口」は、消費以外の方法で地域に寄与するような来訪者に着目していて、お金ではなく知恵や元気を受け取り、その見返りに自己実現の機会を提供するような関係をイメージしています。

「関係」が展開して、生活や仕事の場をその地域に移す人も少なくないと思います。たとえば「地域おこし協力隊」は、その制度的な可視化ともいえそうです。

 

ちょっと話が変わりますが、ミーティングツアーvol.3で訪れた杵築市のカテリーナ古楽器研究所の松本未來さんご夫妻が、先日、スパイラルを訪ねてくれました(スパイラルは表参道のアートセンターで、私のデスクがあるところです)。カテリーナ古楽器研究所はすごくて、27年前にロケーションを気に入ったお父様が福生から引っ越されて古楽器研究所をはじめて、今は息子さんの未來さんが継いでいます。仕事場にも敷地にも風景にも、醜いものがなにもない、東京では見たことがないような独特のクオリティを持っています。何か宇宙にむかって仕事をしているような、図抜けた美意識と品質があります。

そんな感想を話したら、未來さんは、お父さんがそういう人だったということ、古楽器で食べて行くという誰もやっていないことを自分もやるようになった不思議さ、地元で浮きつつも今は仲間が増えてきたこと、などを話してくれました。

自分が担うようになって、段々と愛着が強くなった結果が、現在の研究所の姿だということでした。

いまでは、ゲストハウスや音楽フェスもやっていて、地域に感度の高い人々を招き入れる磁力を放っています。

大分にはそんな場所が多いと思います。

 

Vol.2でお邪魔した豊後大野のタオ・オーガニック・キッチンや竹田でギャラリーを営む草刈淳さん、耶馬渓の豆岳珈琲などなど(詳しくはいずれ)。

地域の歴史や文化とはある程度無関係に、独立した面白い人たちが点在しているのが「大分という環境」なのだと思うようになりました(これは移住者だけではなくて、地元の人がそうなっていることもある)。

それは「大分のいま」をつくっている大切な要素です。

私のようなよそ者から見ると、それは「日本のいま」をつくっている仲間のように感じます。

いわば「文化的な最前線を分け合っている」関係です。

その前線はもちろん東京にも世界にも伸びていて、時代の共通感覚と未来に向かうベクトルが、その人たちの間を気持ちよく走っています。

毎回のツアーでも、そこに触れているうれしさがゲストの表情を明るくしているのだと思います。

 

「観光」や「関係」に加えて、時代を分け合う独立した営みがしっかりあることが大分の魅力だと思いますね。