大分で会いましょう。week Review

11/16から11/24

  • 11月16日(金)
    • 林千晶
    • 松田朋春
  • 11月16日(金)〜24日(土)
  • 11月24日(土)
夢幻的な、新しい夜が生まれた。

 こここはOPAM(大分県立美術館)の地下駐車場。普段わざわざ足を運ぶ者は皆無だろう。駐車場は地上にもあるから、大抵の人には無縁の空間である。地下に駐車場があるなんて知りもしない人のほうが多いだろう。僕も下見で訪れた際、初めてその空間を見た。
 広く、がらんとした、無機質な駐車場。ここを使って、どんなことになるのか、うまく想像できなかった。

 当日。設営時、松田朋春プロデューサー(以下 松P)が会場のセンターラインに屹立する。松Pの指揮でテーブルが配置され、ステージも設営。次に駐車場の照明の光が少しずつ落とされていく。
 コンクリートの図太い梁が頭上を走り、ダクトは銀色の断熱材が豪快に巻かれている。照明が落ちた、暗く鈍色の空間にミラーボールが回った。ぼんやりとしたランプの灯るスナックブースが生まれた。スクリーンに映像が映り、ミュージシャンのリハーサルがスピーカーから聴こえてくるころには、僕はもう夢の中にいるような心地で、もし人が来なかったら切腹しようなどと馬鹿なことを考えていた力みは消え、新しい伝説の始まりを確信していた。
(ついでに、松Pはこの光景をイメージできていたからこそ、空調もないし上水下水道もないしレンタルスペースを借りたら100分の1の労力で済んで、要するに準備が大変そうなこの前代未聞の会場を選んだのだと思うと、そのセンスに感心した)
 さて、思い出すのは、酒の酩酊と音楽の陶酔、出会い語り合う大勢の人間たちの笑顔。子どももはしゃいでいた。
 まるでアンディ・ウォーホルの銀色のアトリエ「ファクトリー」にいるようだと思った。ニューヨークで彼の元に集った芸術家たちのサロンのように、まだ形の見えない、新しい時代の胎動を感じながら、なお無邪気に僕らは僕らの誇りを確かめ合ったのだ。400人を超える人たちが来てくれた。これは「現代大分」の息吹である。


 「現代大分」というのは「大分で会いましょう。」プロジェクトの魂のようなものだ。「現代大分」ってなに? と言われると少なくとも今はまだうまく答えられないけど、公共設備の新しい使い方、楽しみ方を実行したり、そこに来てくれる人が老若男女たくさんいたり、出演者がめちゃくちゃ素敵だったりすることは「現代大分」なのだ、と言うことはできる。もちろん「現代大分」はそれだけではない。それを少しずつ具現化して、言語化していこう、というのが「大分で会いましょう。」なのかもしれない。
 今回は、11/16~11/24は「大分で会いましょう。」WEEK、と称しその間に3つのイベントが順に繰り広げられた。
 1つ目は初日。11/16のオープニングトーク。林千晶さん(ロフトワーク代表取締役)と松P(「大分で会いましょう。」プロデューサー)のトークライブから始まった。
 松Pの「大分のいい意味で余白がある」という話。林さんの飛騨と都内の森を持っているというようなことの価値観の違いとそこにある可能性の話。大分はノーマークだったからこそ、わからないからこそ、面白いんだという話。「大分に帰ってきたいと思わせたい!」という僕の話。
 僕も今回はけっこう喋りました。まだの方はぜひご視聴ください、どうぞ一杯飲みながらでも。
 林さんとは2月に大分で再会することになりそうです。
 11/16の夜から11/22は「あの人のあの店で会いましょう。」という大分市中心部飲み歩きイベントを開催。14店もの飲食店が協力してくれ、ツイッターを見ながら誰がどこにいるのか確認しながら、毎日飲み歩いた。風邪ひいた。
 最初の3日間は、参加者はプロジェクトチームの身内ばかりでイベントの成功に対して不安もあった。ただ身内と言っても半数以上は県外メンバーなので、参加者が少ないのは結果的にゆっくりと話せる貴重な機会となって僕は楽しかった。何よりお互いの理解を深め、方向性を確かめ合えたことで、このチームのひとりひとりのことをもっと大分の人たちに知ってほしい、と飲み歩きイベントへのモチベーションが上がり、告知にさらに熱が入った。
 すると後半3日間は人が人を呼び、偶然の出会いも巻き込んで、等比数列的に参加者が増加、忘れられないイベントになった。滅多に飲みに誘われない僕に、友だちが増えた。
 定期的に開催できたら、もっと大きな渦を作れ、プロジェクトのこと、チームメイトのことをさらに多くの人に知ってもらって、いろんな出会いが生まれることで、もっともっと楽しめるようになるはず、と可能性を感じている。

(問題は、みんな当然自腹で飲んでいたので過去最高速で財布が軽くなっていったことか。だが地域経済が循環しているのだと考えると蕩尽もまた爽快である)
  そして最終日。11/24(土)は地下駐車場のマジカル・カオス・フェスティバル、「OPAMで会いましょう。」だ。冒頭に書いた通りだが、感動した。会場の温かさと先進性が伝わってくるからぜひ動画を見てほしい。
 すごく個人的な話をつけ足しておくと、僕が生まれ育った大分に再び住みだして5年ほど経ち、その間に出会ったたくさんの尊敬する人たち、刺激をもらう人たち、知恵をもらう人たち、大分に来た旅人に紹介したい人たち、そんな大好きな人たちがたくさん来てくれて、出演してくれて、スナックのママをしてくれて、なんだかこの5年間が見えない塊になってOPAMの駐車場にやってきて横に広がって空間を満たしているような気持ちだった。それはとても充実した気持ちである。
 当たり前だが5年間、いいことばかりではない。耐えられないようなこともある。僕にとってはこの5年は一生よりも長く感じられるほど。でもこの5年間が次の5年間を支えていくのだということはわかる。それが何の意味があるのかはわからない。きっと生の中途で生を語ることはできないのから、闇雲にでもまた5年間、走れ、走り続けよ。そんな気持ちでいる。
 5年後はどうなっているだろう。生きているだろうか。生きていたらカモシカ書店をやっていたい。とても好きな本屋だから。ゲストハウスをしたい。県外国外からわざわざここを目指して人がたくさんやってくるような、そんな本屋+α=現代大分を作っていく、ということをしたい。
 また5年間がどこかの部屋にやってきて、微笑みかけてくれるような、そんな幻影をどうしても見たい。たぶんそれは生きていく救いになるような気がする。

全てのご来場者

ママたち

湯けむりスナック鉄輪 橋本栄子さん 安波治子さん
スナックK子 二宮圭一さん 阿部公信さん
スナックよしえ 吉江丞晴さん
スナックA 別府八湯温泉道名人会
割烹着スナックけんめ庵 児玉憲明さん 八坂千景さん
スナックマップ5 麻生勝水さん 田井肇さん

アーティスト

大分で会いましょう。バンド
二宮綾子さん、足立二朗さん、立川ゆきさん、長門敦さん

SHOHEI×中村慎吾(飲み歩きで出会って急遽参加決定!)
SHOHEIさん、中村慎吾さん

baobab
松本未來さん、Maikaさん

ポエトリーパフォーマンス
二宮圭一さん、木村秀和さん、本田邦子さん、木村永遠さん

詩人
三角みづ紀さん

岩尾晋作
(カモシカ書店店主、「大分で会いましょう。」コーディネーター)